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「中高生が、自分たちの理想を叶える。」 Noel Worksが提供する「天穹の境界線」公式HPです。


【Story】No.3:待ち続けた少女

【琴音】

「最悪だよね、ほんと」

琴音は物悲しげに自嘲していた。

何故だろう、俺には――その言葉以上に悲しそうに見えた。

【陽翔】

「……なんかあったのか?悪い人にでも絡まれた?」

【琴音】

「ううん、別に。大丈夫だよ?」

琴音の“大丈夫”という言葉は、いつだって無理しているように俺は感じてしまう。

それ以上琴音に干渉したら、もしかしたら怒られる……って考えて、躊躇してたけど。

どうせプレゼントで喜ばれなかったら、聞き正したところでまた怒られるんだ。

もう割り切ってしまおう。

【陽翔】

「……その言葉を簡単に信用するほど、俺は甘くないぞ?」

【琴音】

「えっ……?」

【陽翔】

「まあ、そんな鬱蒼を吹き飛ばしてくれたら良いんだけどなってことで――」

「はい、俺からのプレゼント」

優しく、ラッピングされた小包を差し出す。

【琴音】

「……はるくん、私に?」

【陽翔】

「琴音じゃなきゃ他に誰が居るんだよ?」

【琴音】

「……それもそっか、そうだよね」

目の前の少女がほくそ笑んで、白い息がふわっと舞い上がる。

クリスマスの夜――所謂“聖夜”とでも言うんだろうか。そんなロマンチックな雰囲気が少女を優しく包み込む。

【琴音】

「ありがと、中観てもいい?」

【陽翔】

「えっと……期待はずれだったらごめんな、直感で選んだから」

そう担保でもかけておかないと、ショックが大きいだろうな……。

【琴音】

「……《未公開要素》だ」

「しかも、これ私が欲しかったもの……」

【陽翔】

「あんまり期待に添えなくてごめ――」

「………え?……もしかして、喜んでくれた?!」

思わぬ奇跡。まさか、本当に喜んでくれたのか?!

【琴音】

「……本当に貰っちゃっていいの?!」

【陽翔】

「……クリスマスだから、それ以上に言う必要があるかよ」

照れくさくなって、目を逸らす。

【琴音】

「……ありがと!大事にするね!」

【陽翔】

「――良かった、良かった……」

それでも――視界に映る琴音が、いつもの笑顔に戻ってくれた。

俺が頑張ってこの笑顔を見せることが出来た――という事実も嬉しいことなんだけど。

琴音の笑顔を見ることが出来た――それだけのことが、どれだけ俺の心を締め付けたんだろう。

耐えられなくなって、夜空を見上げた。

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